―――広介は陸上選手だった。 姉のために、走っていた。 両親を亡くしてから、 元気と笑顔を無くした姉。 ただ、広介が走っていると、 微笑んで見守ってくれる。 その笑顔が見たくて、 ただただ広介は走った。 優勝だって なんだってした。 すべて、姉が『おめでとう』 と笑ってくれるため―――。