クシャナ村が騒ぎになっている間も、カガミはずっと消えたサラを捜していた。
一晩中森の中を捜したが見つからず、まさか村へ向かったのかと見に行ったが、その様子もない。
現在は近くにある別の森を捜しているが、手がかりもない上、初めて入った森だったため、難航している。

「くそ…!どこに行ったんだ…!」

カガミは寝不足と疲労による苛立ちに舌打ちをし、森の中を進んだ。
その日1日捜したがやはり見つからず、仕方なくカガミはその足で自分の村へ戻った。

そしてそれから数週間後、カガミは信じ難い話を聞いた。

「クシャナ村が全滅…!?」

クシャナ村の生き残った村人は1人残らず死体で発見され、その日降っていた雨によってぬかるんでいた地面に狼らしい足跡が残されていたという。
ドク村長は残り少ない村人を見捨てるのかとガジェットに責められ、辞任表をその場で破り捨てられて村に残ったと、野次馬で見ていた者が言う。

やはりサラは生きていたのか。
カガミは話を聞き、密かに堅い決意をしていた。
サラは必ず俺が見つけ出して退治してやる。
殺された村人たちの敵討ちでもあるが、正気を失ってしまったサラと、彼女を必死に守ろうとしていたルカのためにも。

村の中を歩くカガミの耳に、遠くから吹く風に乗って、咆哮が聞こえた。
その時を待ち侘びているかのように。

終わり