たいまつの火が辺りを明るくし、中心の処刑台を囲むように村人全員が集まった。
サラの両隣にはドクとサロメがそれぞれ寄り添っている。

「ルカ…」

誰かの声が聞こえ、場は一斉に騒がしくなった。
役人に連れられたルカが村人の間を通って歩いてくる。
口々に言葉を発する村人に、ルカはにっこりと笑ってみせた。
サラの後方からも声がした。

「気の毒だが、自業自得だろう」

「あぁ。あのガジェット所長が放っておくわけないもんなぁ」

…!
とっさに振り返って憤怒しそうになったサラの肩を、サロメがそっと抑えた。
少し強めの力に振り仰ぐと、唇を引き締め、何かを必死に堪えるサロメの表情があった。
おそらく、いや、確実にサロメも憤りを感じているのだ。
それを堪えている。
ルカのために。
サラは肩に乗っているサロメの手に自分のそれを重ね、処刑台へと視線を戻した。
ちょうどルカが台に上がり、首に縄がかけられるところだった。
縄がかけられたのを確認し、宰らしき役人がルカの斜め前に立つ。

「これより罪人ルカの処刑を始める。罪名は虚言・瞞着罪。これによる被害者が数名。これを重罪とみなし、よって絞首刑とする。ルカ少年、何か言うことは?」

淡々と書状を読み上げる宰に対し、村人の中から不満の声がちらほら上がる。
問われたルカはまっすぐにサラを見つめた。
その様は豪胆で、勇ましい姿と表情だった。