「サラー!」

村の一番奥にある家に着き、扉を明ながらルカは叫んだ。
これも毎朝の日課なっている。
だから出迎えもいつも一緒。

「うるさいぞルカ。叫ばなくても聞こえてる。まず俺に挨拶しろ」

朝食の準備をしていたサロメという男はサラの父親で、早くに亡くした妻の分もサラを大事に育てている。

「サラは起きてる?あ、その目玉焼きうまそー!」

ルカはサロメの言葉をあっさり無視して、家の中に入り、テーブルに乗せられた朝食に目を輝かせた。
お前の分はないぞと睨むサロメだが、ルカは食べる気満々にイスに座る。
仕方なくルカの分も目玉焼きを作り、スープとパンをルカの前に出してやる。
これもいつもの事だ。
サラが生まれた時から家事をやっているおかげでサロメの家事能力はすっかり上達し、それ故に彼の料理は美味しかった。
ルカはそれも狙いに入れて、この家に来ている。

「ふふっ。おはよう2人とも。相変わらず仲がいいね」

奥の部屋から淡い桃色のワンピースに、薄い緑色のカーディガンを羽織ったサラが出てきた。
腰まである長い髪を横にまとめて結っている。
「どこが!!」と反論する息ぴったりの2人をよそに、自分もルカの前に腰掛けた。
サロメはルカの隣に座り、3人そろって朝食を食べ始める。

ルカの両親は1年前に流行り病に倒れ、そのまま亡くなった。
身寄りのなくなったルカは、それでも1人で働き場を見つけ、生活をしていた。
サラとは5年前に知り合い、たった10歳だったルカは3つ年上のサラに一目惚れした。