僕は近くのスーパーマーケットからダンボールをくすねてきて、火を起こした。

「嘘つき」、と言いながらも香山さんはポツリとした表情でそれを眺めていた。
瞳の中に炎が揺れる。
僕もポツリとそれを眺めた。
僕らは炎を囲んで向かい合っている。
赤く染まる香山さんはうっとりする位、綺麗だった。
僕は香山さんにどう仕様
も無く恋をしてしまったらしい。
自分でも胆略的だと思うが仕方が無い。
僕は目の前にある炎を乗り越えて香山さんの頬に触れたくなった。
焚き火の煙は夜空に溶けて、炎は雲の下腹部を照らしていた。
香山さんがぽつり話し始めた。