「お母さんから許可を得ている」
「お母さんから許可を得ている」
「お母さんから許可を得ている」
「お母さんから許可を得ている」

香山さんのすすり泣きは酷くなり、その言葉の抑揚は酷くなった。
「時計」
「お母さんから許可を得ている」
「ビデオテープ」
「お母さんから許可を得ている」
僕は頭を再び鷲?みにされた。
「アルザス」
「お母さんから許可を得ている」
「おにぎり」
「お母さんから許可を得ている」
「茜雲」
「お母さんから許可を得ている」
「メリークリスマス」
「お母さんから許可を得ている」
「うぁああああああああああああ」
僕は空に嘶いた。
その言葉が響き渡ると、僕は弾き出されたように空き地から逃げ出した。
「私のお母さんは死んだ」
最後に香山さんの言葉が聞こえた。
「うわぁああああああああああああああああああ」
僕は沖岡を突き飛ばし、この場所から逃げ出した。そして、僕はいつものコンビニに向かった。
それはカッターナイフを買う為だった。
コンビニでカッターナイフを購入してから僕は商店街をふらついた。
空を眺めた。
月が出ている。

「優しさなんて欠片もない」
僕は呟く。街からビートルズが聞こえる。ジョンレノンが歌うのか、ポールなのか分らないがとにかくビートルズだ。
『Will Happiness』突然そんな言葉が浮かんだ。
その言葉の意味を考えながら、文法がおかしい事に気付いたがどうでも良かった。
僕はドラム缶のある広場に戻った。