「そんな目で見るなぁ~~っ!」



秋良はわぁわぁ騒いで横にいる時春は心底うっとうしそうな顔をしている。



そう。時春にしがみついて離れない棗そっくりのおませな顔した女の子は………篠崎美華(シノザキミカ)。



雪兎と時春の結婚後に電撃結婚しちゃった秋良と棗の愛娘なのだ!



「………顔はなつにそっくりなんだけどなぁ……。」



雪兎はさらりとそう言って美華を見て笑う。



「………うさたん…。顔『は』って…さらっと言わないで………」



秋良は雪兎に無意識に止めをさされやっと大人しくなった。



「さすがはハル~っ!ベビーキラー~!」



「…………。」



棗のニヤニヤ笑いに時春は嫌そうに眉をしかめた。



「あぅ~~っ…」



美華にしがみつかれた時春に、棗に抱かれていた白羽がジタバタともがいて必死に手を伸ばしている……。



「あ……。白ちゃんがやきもちやいてる~」


「………っ!」



そんな雪兎の一言を聞いた時春は抱きつかれていた美華をぽいっと秋良に渡すと、可愛い愛娘を優しく抱き寄せた。



美華は不満げにむぅっとしかめっ面だ。



「………まさにハル。愛する者に遠慮なしだわ………。」



「美華……、こいつだけは無理だぞ~…。」



篠崎一家は……いつものごとく他人にはまるで興味なしで、大切な者には愛情垂れ流しな時春を、『……変わってね~…』と遠い目をして見つめた。