医務室で手当てを受けている間も、課長はそばにいてくれた。

それから、遅れて佐久間主任も医務室へやってくる。

2人に見守られながら、足に包帯を巻かれるのってちょっと恥ずかしいよん。

「佐久間、ちょっといいか?」

課長が佐久間主任をカーテンの向こう側に連れて行く。

「日本でトラブル発生だ。出資すると賛同してくれていた企業が軒並み降り始めた。それから、地場証券各社が玉(ぎょく)を出さないと言ってきたらしい。何があったのか探ってくれ。俺は、日本に行って企業へのヒアリングと説得を試みる」

「分かりました」

出資を降りる。

それも軒並み……。

何が起こってるの?

もし全ての企業が出資を断り、証券会社が協力をしない……そんなことになれば、このプロジェクトは頓挫してしまう。

あれほど期待されたプロジェクトだったはずなのに。

考え込んでいると、課長がカーテンを開けて、中に入ってくる。

「足は大丈夫か?」

「……はい」

「そうか」

「課長!送ります」

「いや、いい。安静にしろ。佐久間、後のことは頼んだぞ」

「真相を探ってみます」

課長がうなずき、出て行く直前に振り向き、私に声を掛ける。

「じゃぁ、由紀、行って来る」