「ふっ!who is it?」

恐る恐るなんとか英語を発してみる。

いいのか?

この英語でいいのか??

ドキドキして、今にも心臓が飛び出しそうになる。

すると、ほどなく扉が開き、背の高い赤毛の女性が入って来る。

何やら手には箱を持っているようだけど……。

んでもって、何か言っているようだけど、ものすごい早口過ぎて聞き取れないヨン!

ええい!

女は度胸だ!

取りあえず、ジャパニーズスマイル発動。

「イエース!」の連発で応戦する。

すると彼女は、ヤレヤレと言った感じで、肩をそびやかし、私に押しつけるように箱を手渡すとつかつかと部屋から出て行ってしまう。

おいおい。

一体、何の用だったのよ~。

しかも、この箱はなんなのよぉ~。

彼女はしきりに箱を指差して「open」と言っていたような気もしたけど……。

困り果てて、振ってみる。

爆弾?とか……じゃ、とりあえず、なさそう。

こわごわ箱のフタを開けてみる。

『To. Yuki』のメッセージカードが目に飛び込んで来る。

もしかして、私宛??

NYに知り合いもいないのに?

訝しがりながらカードを開けて見ると、『このドレスを君に 巧』と書いてある。

「巧」?

巧って誰じゃ?

(熟考2分)

……………おおっ!

思い出した!

課長の名前じゃないですか!

普段、課長、課長ってばかり呼んでるから、危うく本名の「奥田巧」を忘れるところだった。

まぁ、それは、置いといて。

さらに箱の中をのぞいてみる。

カードの下には、シックなブラックのドレス。

「ドレスって、これ?これを……私に?」

広げて見て、その高そうな生地と美しいフォルムに思わず仰け反る。

高そう。

クラクラめまいを起こしているところに、再びけたたましい音を立てて部屋の扉が開く。

「杉原君!急いで!今から一緒に出掛けるぞ!!」

「佐久間主任。丁度良かった、私、実はこれから……」

「君の話は後だ。とにかく、急いで!」

私の話を聞いてもらえる間もなく、箱を抱き締めたままの私は訳も分からず、佐久間主任に首根っこを掴まれ、引きずられるよう部屋を後にする。