誰も居ない部屋で


甘い香りが、懐かしく感じた。

「俺の母親はお菓子なんか作ってないしな…」

珈琲との香りで徐々に薄れていった。

ずずっ、と珈琲をすする。

「あー、課題やらなきゃ…」

机の鞄を引っ張りノートを開く。

ノートに集中して、

甘い香りを、忘れていた。