「私が先生みたいな先生になるって思った時に、なぜかわからないですけど…胸が熱くなったんです」
「…」
「それに、どうしても私は自分のことよりも周りのことが気になっちゃうんです。そのことを立川くんに相談したら、時には短所になるかもしれないけど、それは長所だって言ってくれてー…」
「…立川が?」
「はい。立川くんにも、そういう長所も生かせると思うから向いてるんじゃないかなって言ってもらったんです」
「そうか…」
先生がさっきと様子が変わった。
「俺は妹尾に、ただ自分のことだけを考えろって言っただけだったのになー…」
ボソッと小さな声で、先生がそう言った。
「…先生?」
どうしたの?
何でそんな、悲しい顔してるー…
「妹尾の今の成績だと…」
「!」
「市内で教育学部のある大学はここだけで、今の妹尾の成績だともうちょっと頑張らないといけないな。県内、もしくは県外の大学を希望してるか?」
先生が、先生の顔に戻った。
「…まだそこまで考えてないです」
「そうか。じゃあ、今の妹尾の成績で狙えそうな大学をピックアップしとくから。明日の放課後、取りに来いよ」
「はい」
「もし希望する大学があったら、また言ってくれ。じゃあ、以上。もう帰っていいよ」
「…はい。ありがとうございました」
何か、最後の方は早口だったような気がした。
席から立ち上がり、先生に一礼するとドアへと向かう。
「…妹尾」
「!」
名前を呼ばれ振り返る。
「さっきの話だけど…妹尾と俺が似てるかって話」
ドキ。
「はい…」
さっきは聞けなかった、返事。
身体が、ドキドキと緊張するのがわかる。



