「私、いざ自分のことだけを考えようって思った時には何にも自分のことわからなかったの」

「…?」

泰葉に話を振られ、立川が首を傾げる。

「けど、さっきの立川くんの的確な私の診断は私自身のことなのに、驚いちゃった。心に響いたし、背中を押してくれた」

「妹尾さん?」

まだ泰葉が、何が言いたいのかわからないみたいで、立川が??の状態。


「立川くんは、私の周りを見てるとこがすごいって言ったけど…私からしてみると、立川くんの方がよく周りを観察してると思う」

「…」

「さっきの香奈のことだって、あれ以上は聞いたらいけないと思ってやめたんでしょ?香奈は、ちょっと言い過ぎたけどね…ゴメンね」

「いや、妹尾さんが謝ることじゃ…」

「ほら!立川くんも優しい」

「??」


立川はまた、首を傾げた。

「ゴメン、私も言いたいことをまとめれてなくて…で、私が言いたいのはー…」

泰葉が一歩、立川に近付いた。



「立川くんは、医者に向いてると思う」


真っ直ぐ目を見て、泰葉が立川に言った。