岩瀬と一緒に向かった先は、中庭。
「岩瀬くん、私に用って…?」
立ち止まった岩瀬の背に向かって尋ねた。
「…昨日妹尾先輩は、高橋とのことは俺に関係ないって言いましたよね?」
「うん」
「けど、俺には全く関係ないとは思えないんです。だから、一言だけ言わせてください」
今まで背を向けたまま喋っていた岩瀬が振り返り、向かい合った。
「すいませんでした」
そう言いながら、岩瀬は頭を下げた。
「え…?」
予想外の展開に、驚く。
「妹尾先輩に暴言吐いたり、窓ガラスを浴びせたり、頬を叩いたり…本当に酷いことばかりしました。謝って許されることじゃないかもしれないけど…」
岩瀬くん…
「って、一言じゃなかったですね」
「…ううん。ありがとう。でも、本当に気にしてないから。それより、私は岩瀬くんが退学にならなくて良かったと思ってるよ」
「妹尾先輩…」
「今の言葉、高橋先生が聞いたら泣いちゃうかも。私よりもずっと、ずっと岩瀬くんのこと心配してたから」
きっと、先生は喜ぶー…
「…高橋には言いませんよ」
「!」
え?
「だって、俺、高橋嫌いだから」
「え!?」
嫌いって…
「別れても妹尾先輩に想われてる高橋が、ムカつくから」
「!」
「俺、妹尾先輩が好きなんです」
「えぇ!?」
岩瀬くんが私を!?
岩瀬のいきなりの告白に、驚いて言葉が見つからない。



