「高橋、インフルエンザみたいよ」
翌日登校すると、下駄箱で香奈と会った。
「インフルエンザ?」
「さっき、養護の先生がそう言ってた。一週間ぐらい休むって。今の時期でも、インフルエンザってなるんだね」
「ねぇ…」
一週間ってことは、次に会うのは個人面談の時かー…
「心配?」
「え?」
「今までの泰葉なら心配で、学校早退してでも見舞いに行きそうな感じだったじゃん」
「…行かないよ。先生の迷惑になっちゃうし…今は、もう関係ないから」
それに、ちょっとホッとしている自分がいる。
先生が目の前にいると、先生のことばかり考えちゃうから。
「妹尾先輩!」
「!」
名前を呼ばれ振り返ると、そこにいたのは岩瀬だった。
「何よ、岩瀬。泰葉に何の用?」
「あんたに用はねぇよ。妹尾先輩、ちょっといいですか?」
「え…うん」
「ねぇ!前から思ってたんだけど、何で泰葉には敬語で私にはタメ口…」
「ここだとうるさいので、付いてきてください」
「ちょっと、うるさいって私のこと!?てか、人の話を聞けよっ」
「香奈、大丈夫だよ。行ってくるね」
怒り狂っている香奈にそう言うと、先を歩く岩瀬の後を追った。



