「あ…」
そうだ、鍵…
「やーすは!!」
「!!」
鍵をかけていると、背後から名前を呼ばれた。
「香奈!びっくりした…いつから、そこに?」
「泰葉と高橋が抱き合ってるときから」
「!?」
うそ…見られてたの!?
「大丈夫、大丈夫。扉を開けたらそんな光景だったから、すぐ閉めたし。誰も入らないように見張ってたし」
でも、香奈以外の人だったら大変なことになってたー…
ドクン、ドクンと不安が過る。
「さっきさー、養護の先生が変なこと言っててさ」
「え?」
香奈と職員室に向かって歩く。
「泰葉と高橋が似てるって」
「あ…私も同じこと言われた」
「話聞いてたら、確かにって思っちゃったよ。泰葉は?」
香奈まで…
「自分じゃ、よくわからない」
「高橋と似てるってことはさ、泰葉も教師に向いてるってことだよね?」
トクン。
「え?」
「なんだかんだ言っても、高橋っていい先生じゃん?だから、その高橋に似てるってことは、泰葉も教師になればいい先生になると思うんだよね」
トクン。
私が、教師にー…?
トクン。トクン。
「もちろん泰葉には泰葉の良さもあるけどね。でも、それをプラスしても向いてると思うけどね」
香奈の話を聞いていたら、何だか心が熱い。
「聞いてる?泰葉」
「え?あ…うん!そう言われるなんて思ってもなかったから、ビックリしちゃって…ども、ありがとう」
私が教師になる?
先生みたいな、先生になるー…?
「…」
トクン。トクン。
また、心が熱くなった。



