「あなた…妹尾さんよね?」
「あ、はい」
養護の先生とほとんど話したことないのに、名前を覚えていることに驚いた。
「さっきの岩瀬くんを更生させたって噂の」
「え!?」
更生って…しかも、噂って…
「ふふ。先生方は、とても驚いてるわ。最近の岩瀬くん、とても落ち着いているもの。妹尾さんのおかげね」
「でも、私が岩瀬くんを変えたわけじゃ…」
「高橋先生もあなたに感謝してたわ。あのままの岩瀬くんだったら、もう退学になってたかもしれないから」
「…」
先生が私に、感謝ー…?
あんなに心配かけたのに?
「生徒のことばかりで自分をおろそかにしてしまう高橋先生も、どうにかしてほしいぐらいだわ」
「!」
ドクン。
それって、どういう意味ー…?
「っと、いけない…あなたと高橋先生は似ているものね、妹尾さんにそんな無理させちゃいけないわ」
先生と私が、似てる?
「妹尾さん悪いけど私も一度、職員室戻るわ。私が戻って来る前に帰るなら、鍵閉めてってくれる?鍵は、職員室に持って来てくれればいいから」
「あ、はい」
「じゃ、お願いね」
そう言うと、養護の先生は出て行った。
シンっと、静まり返る保健室。



