保健室に着くと、香奈と養護の先生が待っていた。
「あらら、高橋先生ったら。あれほど、無理しないでくださいって言ったのに」
養護の先生が体温計を片手に、先生の額に手を当てる。
「やっぱり、先生朝から調子悪かったんですか?」
「えぇ。じゃあ、あそこのベットに寝かせてくれる?」
保健室の奥のベットに、先生を寝かせた。
「あー、重かった」
岩瀬が肩を回しながらそう言った。
「あ…岩瀬くん、ありがとね」
「いいえ。じゃあ、俺は帰る」
「あ、ちょっと!岩瀬くんは帰れないわよ」
保健室から出て行こうとする岩瀬を、養護の先生が止めた。
「高橋先生がこんな状態だから、代わりの先生が職員室で待ってるわ」
「は?そんなん…!」
「私が責任持って連れて行きます」
そう言って岩瀬の腕を掴んだのは、香奈。
「離せよ!」
「うっさい!大人しく付いてきな!!」
「安川先輩のくせに、エラそうだな」
「先輩だから偉くて当たり前でしょ!?」
ぎゃあぎゃあと、揉めながら保健室から出て行った2人。
…大丈夫かな?
二人がいなくなった保健室は、いつも通りの静けさを取り戻した。



