頬をつたう涙で、自分が今泣いているんだと気づいた。 「ごめんな。全部、俺が悪いんだ」 …ううん。 「いい思い出を作ってやれなくて、ごめんな」 ううん。 「これからの、残り少ない高校生活の時間はいい思い出になるといいな」 先生がいないのに、いい思い出なんかー… 「!」 ポンっと、頭に先生の手が置かれた。 「ありがとな、妹尾」 笑ってそう言った先生にー… 私は、何も言えなかった。 こんなときでも、先生の優しさを感じてしまったから。 もう、私は何も言えない。