岩瀬が出て行った後の準備室は、一気に緊張が抜けたように感じた。
「はぁ…」
先生の大きな溜め息と同時に、抱き寄せていた腕が肩から離れた。
「あれは、図星ですね。まぁ…大丈夫でしょう」
岩瀬が出て行った扉を見つめながら、立川が言った。
「そうだな。まぁ、言ったら言ったで覚悟はできてるけど」
「え!?」
覚悟って…
「てか…妹尾の方がカッコ良かったな。俺を守るって感じが全面に出てて」
「え…あ…」
「妹尾さんって、意外と男らしいとこあるよね。どっちが男かわからなくなっちゃうよ」
「あ…いや…そんな…」
「俺より頼もしいもんな」
「私なんか…全然って…そんなことより、岩瀬くんはいいんですか?出て行っちゃいましたけど…」
岩瀬が出て行った扉を見ながら、泰葉が言った。
「頭の熱が下がるまで、ほっとけばいいよ。また、問題起こされてもやっかいだし。ね、高橋先生」
「あぁ…まぁ、岩瀬のことは関わらなくていい。俺がなんとかする」
「高橋先生に、かまってもらいたいだけですもんね」
「気持ち悪い言い方すんな、立川。…っていうことだから、妹尾」
「え…はい」
さっきまで立川と笑いながら話してた表情とは変わって、真面目な表情をした先生。
「今度こそ、岩瀬に関わるなよ。てか、近付くな」
「はい…すいません」
「よし。じゃあ、2人とも授業に戻れ。あ、妹尾は保健室行った方がいいか?」
保健室…?
あ…
「大丈夫です…」
岩瀬くんに叩かれた、頬。
「そうか?でも、とりあえず湿布もらっとけ。後から腫れるといかんしな」
「はい」
先生が心配するほど、痛くはない。
岩瀬くんは、本気で叩こうと思ったわけじゃないから…?
そういえば…
どうして叩かれたんだろう?



