「…は…俺が寂しそう?」
岩瀬は、唾を吐き出すように言った。
「妹尾先輩、目がおかしいんじゃないんですか?」
ゆっくり近付いてくる岩瀬。
「…岩瀬くん…」
その目には、何も映っていないように見える。
「それとも…俺を好きになっちゃいましたか?」
一歩、岩瀬が近付いてくるたびに一歩ずつ後ろに下がった。
「気を引きたいなら、もっと色気のある誘い方してくださいよ?」
「…」
とうとう壁とぶつかってしまい、一歩も下がれなくなってしまった。
「何なら、俺から襲ってあげましょうか?」
「!?」
岩瀬の手がスカートに触れた。
「…岩瀬く…」
「妹尾先輩が悪いんですよ?俺が本心を見抜いてしまったんだから」
「……」
耳元で囁かれ、岩瀬の手はスカートの中へと侵入する。
「…もう、どうでもいいんですよ。俺なんか、何の価値もない人間なんですから」
「…」
価値のない人間?
「お前ら!!何してんだ!?」
校内から、大きな声がした。
「ちっ…」
それと同時に、岩瀬の手が離れた。
「岩瀬!またお前か?!…と…妹尾か?」
驚いた表情を見せながら言ったのは、学年主任の先生。
意外な組み合わせに、状況を把握できていないみたいだ。
「俺が妹尾先輩を襲った」
「お…襲った!?お前は、退学になりたいのか!?」
退学…
「あ?退学にでも…」
「ちっ…違います!!」
学年主任と岩瀬の会話に割り込むように、泰葉が叫んだ。



