「…さすが、妹尾だな」
ぽんっと、先生の手が頭を撫でた。
「あ…私の勘違いだったらすいません」
「いや、間違っていないと思う。俺も薄々、感じていたことだから」
「じゃあ…」
「退学にはさせないよ。明日にでも、岩瀬と話してみる」
。
ふっと笑顔を見せ、先生が言った。
「…良かった…」
その笑顔に、ホッと心を安堵させる。
「でも…」
「でも?」
さっきまで頭を撫でていた手が、頬に触れた。
「妹尾は、岩瀬に近付いちゃいかん」
「…え?」
「またキスなんかされたら…俺、岩瀬と向き合えないどころか…自分を抑えられないかも」
「!あれは…」
「わかってるよ。わかってるけど…」
先生は言葉を続けない。
表情を歪ませ、何か考えているようー…
「…先生?」
「あ…あぁ、何でもない。…さ、帰るか!妹尾の親が心配してるといけないからさ」
再び車を発進させる時には、いつもの先生だった。
家に着くまでの帰り道、先生はさっきの話の続きを話すことはなかった。



