「はぁ…」
「…ごめん」
長いキスの後、先生は何故か謝った。
「え…?」
「最近二人っきりで会ってなかったから」
「あ…先生忙しそうだったから…全然」
「それと、準備室でのこと」
準備室ー…
「いくら岩瀬の前だからって言っていいことと、悪いことがあるよな。本当、ごめん」
「いっいえ…私が悪かったんです。きちんと、否定できていれば…」
「いや、俺がもっとうまくフォローできていれば良かったんだ。岩瀬のことも…」
"岩瀬"のことになると、先生は黙ってしまった。
「…岩瀬…くんは、退学になっちゃうんですか?」
「あ…あぁ…このままだと、多分…」
先生からは"退学"という言葉は、出て来ない。
「先生は、岩瀬くんを退学にさせたくないんですよね?」
「そりゃ…せっかく入学したんだから、卒業はして欲しいよ。でも、問題ばかり起こされるとフォローしようにも限界があるしな…」
苦笑いを交えながら、言った。
「…岩瀬くん、寂しそうな表情してましたよ」
「え?」
中庭で岩瀬くんを見た時、今にも消えてしまいそうだった。
「それに、岩瀬くんが私に突っかかってきたのは私に対してじゃなくて、先生に対してのものだと思います」
「は?」
「岩瀬くんは、向き合ってくれる人を求めているんじゃないんでしょうか?」
「…」
何度も問題を起こしているのは、それを求めているからー…
そして、向き合ってくれそうな人が先生だと思った。
だから、先生に対して突っかかってきた。
岩瀬くんを見ていて、私はそう感じた。



