奏との付き合いは、誰もが羨むくらい順調で、

気が付けば、あたしの髪も奏と出会った時くらいまで伸びていた。




「もう2年生も半分過ぎたなぁ…」



「千秋…俺、ヤバイ…」



奏は参考書やら赤本やらを机に広げたまま、突っ伏している。




奏は受験生な訳で…。


今頃になって、勉強を必死にやっている。



「模試の結果きたんだけど…志望してるトコ…全部D判定だった…」



「…ま、まだ受験まで3ヶ月あるし!!」



「もう3ヶ月だ…」



…確かに。

まわりでは、枠で大学が決まった子もいたりするみたいで。



「よ、弱気になるなっ!
やるしかないでしょ!?」


「……」




「ち〜あ〜き♪」


いきなりあたしに抱きついてくる人。



「り、リョウ先輩!」


「んだよ!なんでリョウがくるんだ?!ってか千秋から離れろ。腐る。」


「なんでって、俺、自分の教室にいちゃいけないのかよ。」



あ。そうだ。

授業後、あたしが奏達のクラスに来たんだった。



「千秋♪今からクレープ食べ行こ♪」


「クレープ??」


あたしは目を輝かせる。



「…裏切りモノ…」


奏が机に突っ伏したままボソッ言う。



「あ…リョウ先輩…今日は辞めておきます…」


「ッチェ。つまんね〜」
そう言って帰って行った。


リョウ先輩は、専門学校に決まってるから、もう自由なんだよね。



「はぁぁぁ…千秋…」



「何?」



「俺…」



「ん?」



「エッチしたい…」



「はぁ?!」



「だってさ、受験生だからって、月1は厳しいべ?千秋に触れないと勉強に集中出来ない…」



「……」



「って事で、今日俺ん家泊まれっ♪」


あたしは満面の笑顔で言った。

「奏♪とことんやろっか♪」


「マジ?!千秋♪」




「とことんやるよ?
お勉強…をね…」



あたしはニヤっと笑った。