「千秋、夏休み予定は?」



「あぁ…何もないけど、バイトしよっかなぁって思ってる」



「バ、バイトォ?!」



「うん。毎日ダラダラしても仕方ないし…」



「もう決めたのか?!」



「まだだよ〜」



「バイトなんかすんなって!俺と毎日いればダラダラなんかしなくなるし!!」



「そりゃ奏とは毎日会うつもりだけど♪」



「っあったりまえだ!!
とにかく、バイトの件は保留っ!!」



「…はぁぁい」




「あ!言うの忘れてたけど、今日は千秋ん家にお邪魔するつもりだから♪」



「へっ?いきなり?」



「いきなりじゃないし。昨日、千秋のお父さんからMailあってさ。家においで〜って。」



「…聞いてないし。」



「…嫌そうだな…」



「嫌な訳ないじゃん♪」


…自分の家族と彼氏が仲良くするのは嬉しいに決まってるし♪


あたしは、「早く×2♪」と奏の腕に自分の腕を絡めた。




−−−−−−−


「ただいまぁ〜」

「お邪魔しま〜す!」



「お帰りぃ♪あら、奏くん、相変わらずカッコイイわね♪」

お母さんがリビングからチラっと顔を出して言う。



「お茶持ってくから、先にあたしの部屋入ってて!」


「はいよ♪」




−−−−−−−


ガチャっ



千秋の部屋のドアを開けると、部屋いっぱいに千秋の香りがした。



「相変わらずピンクが強い部屋だな…」



ベッドに腰掛けて、部屋をぐるっと見渡す。

女の子の部屋にしてはシンプルで必要最低限の物しかない。



「あ…」



ずっと見たかった物を見つけた。



…中学の卒業アルバム。




奏は何の躊躇いもなく開いた。


「何クラスあんだよっ?!」

分厚い卒業アルバムをパラパラめくる。


「13クラス?!どんだけマンモス校だっっ?!」

この中から千秋を捜すのは無理…


「本人に聞けばいっか♪」


奏は卒業アルバムを机に置いた。