「……」
「……」
言葉が出ない。
すると、奏が口を開いた。
「…髪…だいぶ切ったんだな」
「あ…うん。」
あたしは髪を触りながら答えた。
「…ピアス」
ビクッ
ピアスという単語に過剰に反応してしまった。
「…ピアス空けたんだ?」
「…うん。」
「……」
「あぁ!!もう!!!」
奏が突然頭をかきながら叫んだ。
「千秋!!!行くぞ!!!」
「え?!」
「早くしろ!」
奏はあたしのバッグを持って立ち上がる。
電話から帰ってきたリョウ先輩に
「わりぃ!リョウ。千秋連れてくわ」
「はぁ?!」
リョウ先輩は呆れていた。
気が付いたらあたしは奏に手を繋がれて、店の外に出ていた。
「そ、奏!待って!!」
「待たない!!」
「どこ行くの?!」
「俺ん家!!」
「ヤダよ!!ちょっと!!」
あたしは手を離そうとしたけど、奏は一層力をこめて握った。
「もう離さない。」
奏は真剣な顔であたしに言った。

