「あたしは…雷太が好きなんです。だから…」

「じゃぁ、我慢する?」

コクン…
あたしは頷いた。

先輩は優しく笑ってあたしの頭をぽんぽんとした。

「今日はガシガシじゃないんですね」

「今日はな!」



雷太と話したい。

あたしは先輩と別れて、雷太の家の前で待ってた。


どれくらい待ったかな…

全く携帯見てないから時間もわかんない。


するとあたしのポケットの中からバイブ音がした。

「ら…いた…」

あたしは急いで電話に出た。

「もしもし!雷太!」

「千秋!電話ゴメンな!全然気付かなかった!」


気付かなかった…?

嘘だ…

「今どこ?」

「もうすぐ俺ん家♪」

「今あたし前にいるか…」

「あ!千秋♪」


雷太があたしの前に現れた。


手を伸ばせば触れる距離に雷太がいる。

何も知らないフリをしたら…今までみたいに付き合えるのかな…


「千秋?どした?部屋行こうよ」

雷太はあたしの手を掴んで家にあがらせようとする。

「雷…太…。今日あたし見ちゃったの」

「何を?」

「雷太が女の子といる所…」

「違う人じゃないの?もういいから、部屋おいで。俺、千秋不足で死にそうなんだけど…」

雷太はいつもみたいにニカッと笑ってあたしを抱きしめた。


「雷太…香水くさいよ。あたし昨日携帯見ちゃったんだ…
今日の子が奈々?」

「はぁ?携帯見たとか何?今日も後付けてたの?なんでそういう事するかなぁ…うざいんだけど。」


「雷太…雷太、高校入って変わったね。あたしの事…前みたいに好きじゃないんだ?」

「だから!!そういうのがうざいんだって!俺だって変わるよ!ツレとコンパだって行きたいし、女とだって遊びたい。いつまでも中学ん時みたいなガキのままじゃないから。」


ガキ…?
あ…先輩は雷太の事ガキだって言ってたな…


「もういい!こんなキスマーク付けてさ…雷太はガキのまんまなくせに!」


あたしは雷太の顔も見ずにその場を離れた。