中嶋先輩の視線の先をあたしも追った。


あぁ。
やっぱり。


あたしは、雷太と…一緒にいる女の子から目が離せなくなっていた。

こういう時はどうしたらいいんだろ。
あたし、雷太しか知らないからわかんないや。

雷太…

なんで、隣にあたしじゃない女の子がいる?

なんで、あたしじゃない女の子と手繋ぐの?

なんで、あたしじゃない女の子に優しく笑うの?

昨日あたしに雷太の印付けてくれたじゃん。

あたしに「好き」って言ってたじゃん。

なんで??


「千秋…」

「ちょっと電話します」

「……」


あたしは震える右手を震える左手で押さえながら、雷太に電話した。


プルルルルルル…

プルルルルルル…

プルルルルルル…


あたしから見えてる雷太は、着信に気付いて携帯を見て…
電話に出ずにそのままポケットにしまった。

そして、その女の子の腰に手をまわして姿が見えなくなった。


「なぁ…千秋。大丈夫か?」

「大丈夫…な訳ないです」

「だわな…」

「綺麗な女の子でしたね…」

「そうか?!ただケバいだけじゃん!」

「あたし…すごい子供…」

「千秋はあんな女より全然可愛いよ。
…てか。どうすんの?」

「どうしたらいいのかわかんないです。
先輩…ちょっと話聞いてもらっていいですか?」

「ん。話してみ?ちゃんと聞くから…とりあえず…コーヒーでも飲もうか」


−−−−−−−

あたしは、雷太の友達が昔と違うタイプだった話、雷太の携帯を見た話、雷太が避妊しなくなった話…全てを先輩に話した。

先輩はうんうんとあたしの話を聞いてくれた。


「アレだな。高校デビューってヤツだな。」

「…はぁ…」

「高校入って、世界が広がったんだと思う。ツレの付き合い方も女の子の扱い方も覚えたんじゃないかな。千秋の事も大事なんだろうけど、なんていうか…新しい方に目がいくっていうか…」

「…そんなもんなのかな…あたし」

「あとは千秋が我慢出来るか…我慢しないか…じゃないか?」