−…ブブブッブブブッ…−

「っあ!!」

机の上の携帯が震えて、
パッと掴む。


Mailを知らせるイルミネーションがピンクに点滅。



「雷太だ!!」



Mailを開くと、明日の確認の内容だった。


[オス!明日朝10時に千秋ん家迎えに行くわ!遅れないよ〜に!]


一通り連絡のみの文章読んで、いつものようにカーソルを下に下にと移す。


[千秋大好きだよ!]



いつもの事なんだけど、こういう小細工がたまらないんだよね。

だからあたしも、


[うん!わかったょ!]

…の後に改行しまくってから、


[私も大好き!]と付け加える。



雷太とは、中一の時に同じクラスだった。
彼はサッカー部、あたしは陸上部。

サッカー部だし、背も高いし、綺麗な顔だし。
結構ファンがいて「カッコイイなぁ」くらいにしか思ってなかったんだけど、

たまたま部活合同でシティマラソンに出たのがきっかけで、仲良くなった。

それから…

雷太に告白されて付き合う事になった。


付き合うって言っても、休み時間に廊下でお喋りしたり、一緒に帰ったり…
たまに遊園地に行ったり…

…と。
健全な中学生らしい付き合い方。

あ。

手は繋いだかな。

あ。

キスもしたかな。
チュッてヤツ。


それ以上はナシ。
「高校生になったら」って二人で決めてるから。




そんな雷太と明日はデート。


髪型変えた事、なんて言うかなぁ。

明日は、何着て行こう…


あたしは、さっきの憂鬱なんて吹っ飛んじゃってた。