3月末にあたしの荷物が奏の家に運ばれた。

モノトーンで統一されていた部屋に、所々ピンクが目立つようになった。



「やっと片付いたね♪」


「俺の部屋が…ピンクに染まっていく…」



−−−−−−−


夕飯を食べて、お風呂に入り、あたしたちはまったりタイム。


ソファーに並んで座って、テレビをみていると、


「あ。千秋、コーヒーいれて!」


「うん、わかった!」



あたしがキッチンに向かうと、奏は自分のバッグを何やらゴソゴソして、またソファーに座った。



あたしは、コーヒーをいれたマグカップを持って、奏の隣に座る。



「…なぁ、千秋。」


「ん?」


「これからもずっと一緒にいような!」


「うん!もちろんだよ♪」


「ずっとだぞ?」


「うん。ずっとね。」


「千秋、手出せ」


「ん?」
あたしはグーを出した。


「…ドラえもんかっ!!
普通、手をひろげて出すだろ…」


奏はそう言ってあたしの手をひろげ、小さな箱を渡した。


「…コレ…は?」


「開けろ」


あたしは、その箱を開けた。



「リ…ング?」



あたしの手が震えた。


目の前が涙でにじんだ。


「…奏…」


「こんなの安モンだし、虫除けみたいで、お前を縛るみたいで…なんだけど…」



奏はそのリングをあたしの左薬指にはめて、


「実は俺も♪」


と、左薬指にはめられたリングを見せてくれた。



うっ…うっ…


あたしは涙が止まらない。


奏はあたしを優しく抱きしめて言った。



「俺は千秋しか見てないから。
千秋しかいらないから。
…だから、千秋は俺の傍にずっといろ。」



「……」



「返事は?」



「…承…知。」



「お前は侍かっ!!」



「奏…愛して…るよ…」



「よく出来ました♪」



奏はあたしに優しいキスをした…


「愛してる…千秋」





[完]
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