「はぁぁ…。ホント憂鬱…」
壁にかかった真新しいブレザー見ながら、無意識にパソコンを立ち上げる。

あたし−。
山瀬千秋は、高校入学式を明後日に控えた女の子。

普通なら、高校生になれるって、嬉しくて嬉しくて仕方ない…はずなんだろうけど。


あたしは違った。


だって。

中2の4月から付き合ってる彼と別々の高校になったから…


せめて学校が近かったらなぁ…。

「地下鉄だと…いち…に…さん………8駅かぁ」

カチカチとマウスいじって、ネットマップでお互いの学校を行き来する。


たまに範囲拡げ過ぎて、とんでもない場所に飛んでしまったりして、ププッと笑う。


まぁ。
せめてもの救いは、乗る駅が同じって事と。

彼が男子校だって事。


ちなみにあたしは共学なんだけど。



「はぁぁぁぁ…」


ため息しか出ないよ。