清香が立ち上がった。



スプリングコートとカバンを持ち、出口へと向かっていく。



「何も、言わねえのかよ!」



俺は我慢が出来なくなり、椅子をひっくり返して勢いよく立ち上がった。



ガターンッ!



俺の激しい怒りの声と、椅子の倒れる音に、清香がビクッと肩をすくめた。



「お前、何一人で勝手に決めてんだよ。俺に相談も無しか。なんで言わなかった!」



俺はカツカツと靴を鳴らして、清香の元へと歩むと、肩を掴んで振り向かせた。



と同時に、



パチンッ



俺の頬に衝撃が走った。



俺は初めての清香の行動に唖然としていた。