季節は夏。 夜だから昼間のように太陽は 照っていないものの、 やっぱり暑いものは暑い。 漆黒の夜空には真珠のように きらめく星たち。 そして闇にぽっかり穴が あいたような満月。 その空の下には市の祭りが にぎやかに開催されていた。 底に迷い歩いている人一人。 ――私である。 友達と二人で来ていたのだが、 いつの間にかはぐれてしまった。 そんなに大きい祭りじゃないから 歩いていたら見つかると思うけど。