狼と赤ずきん

その声が聞こえたのか、女の子から「うぅ~……」と涙混じりの呻き声が聞こえた。

まずい。このままでは距離をとられてまた警戒心が強くなるかもしれない。
なんとかして慰めなくては。

狼は多少慌てながらも女の子に話し掛けた。

「ゴメン、ゴメンネ?だって君があまりにも可愛かったから…。顔と頭巾が一体化してるみたいだったし……ははっ」

だが、先程の事を思い出すとやはり笑ってしまう。
ツボにはまったのか、はたまた自分は笑い上戸だったのか、自分でも訳がわからなくなってしまった。ただ笑いが止まらなくて考える事が出来なくなってきたのは事実だ。

第一こんなに笑った事は滅多に無い。
もしかしたら初めてかもしれない。