「いー匂い…おいしそうな匂いだ…。香りだけでこんなに満足なら…喰べればどれだけ最高なんだろ!」

自分を抱きしめるように腕を回し恍惚に近い表情を浮かべながらクツクツと笑った。

「飛んで火に入るなんとやら。じゃあ…味わらせていただきますか!」


狼は匂いのする方向へと走った。


その匂いの先には、赤頭巾を被りバスケットを持った女の子。

紛れも無い。

お祖母さんのお見舞いに向かっている赤ずきん。