「あのね、圭くん。気づいたの」


彼女は新しい発見をしたのか
身をのりだして僕に言った。


「なに?」

「うまくは言えないけど…飴の力は偉大だなって。
さっきまで具合悪かったのに
飴を食べているうちに落ち着いてきたの」



僕は頷いて、彼女の頭をぽんぽんとしながら聞いた。


「…僕の力は?」

「……普通…?」

「…飴よりも…足りない?」

「へへっ。そんなことないよ」



彼女は意地悪く笑いながら
ベッド越しに、
隣に座っている僕に抱きついてきた。



飴ひとつでこんなにも
バカップルになれる恋人は
僕たちだけだろうなと思った。

絶対、僕たちだけだ。
世界中探したって。