君との関係

そんな事を黙々と考えている間に学校に着いた。

さすがはセレブ校、送迎の車の格や数が半端なく多い。

勿論、私も例に漏れず送迎の車はあるけれど毎回この渋滞ぶりはどうにかならないかなと悩みの種になっている。

クラスに着いてもメンバーは2年からの持ち上がりなので、なんの新鮮味も無いまま私は親友の席に一直線に駆けて行った。

彼女は葛原 皐月（ｸｽﾞﾊﾗ ｻﾂｷ）。栗色の柔らかそうなショートヘアーに小さな顔、くりっとした大きな目、白雪姫を地でいく容姿に葛原財閥のご令嬢。揃いも揃った完璧な女の子。

まぁ黙っていればの話なんだけれど。

一度口を開けば、外見に似合わず素敵な毒舌が降ってくる。

皐月を怒らしたら、きっと母に怒られる時よりも恐怖を感じるに違いない。

皐月は怒ると普段の毒舌を封印し、静かに丁寧語で、地を這う様な声で脅してくる。

思い出してリアルに怖くなってきたけれど、皐月は私の親友。

｢私達親友だよねっ｣なんて確認はした事はないけれど、皐月も私と同じ気持ちだと信じてる。

あと確か“赤塚モータース”のご子息と付き合っているはず。

名前は何だったっけな？

私と皐月は滅多な事が無いと恋愛話はしない。

多分それは私の恋愛についての興味のなさからきているんだと思う。

人を、誰か一人の人を特別好きになる。愛するって事を私は今だに分からないでいる。