君との関係

｢変な話、親父達は俺に今回の事を失敗させて責任を取らせるって言う形が理想だと思ってやがる。失敗すれば俺に逃げ道は無いからな。拒否権なしって事。だから花音の協力が欲しい。頼む。｣

｢そういう訳。分かってくれた？だから、お願い間宮君に協力してあげて！私と誠司の未来がかかってるの！｣

話は理解出来た。事の重大さも分かった。皐月の為に手伝ってあげたいと、力になってあげたいとは思う。

けれど、それは同時に間宮グループに力を貸すということ。

商売敵に商売の仕方を教える？

そんな話聞いたことがない。

橘コーポレーションに力が無いんだったら、吸収合併でもすればいい。けれど、うちは旅行産業に関して言えば日本最大手だ。間宮グループの力なんて要らない。

どうしたらいいか分からない。協力したいという気持ちと、家を裏切れない気持ちが、体の中で渦を巻いて気持ち悪い。

｢花音のことだから、今すぐに応えが出せないのは分かってる。迷惑掛けてごめんな。でも、頼む。社内じゃ俺の見方は居ねぇんだよ。返事待ってるから。そろそろ授業始まるから、また後で。｣

あいつの言葉どうり、チャイムが鳴り、私達はそれぞれ席に着いた。

けれど、授業の内容なんて1つも頭に入ってこない。頭の中は、さっきの話でグチャグチャになっていく。

先生の声が、やけに遠く聞こえた。