君との関係

「ごめん、皐月に説明されてもよく理解できない。てか皐月は知ってるの?」

「まぁね、私と誠司の未来に関することだから。」

「えっと、誠司って誰?」

「赤塚 誠司(アカツカ セイジ)よ。赤塚モータースの。私の彼で、未来の旦那様。」

「はぁ、旦那様。それで、それがどうなって来るのでしょうか?」

なんとなく話の筋が見えてきた。けれど認めたくはなくて、とぼけている自分が居る。どうして、認めたくはないんだろう。とぼけて、やり過ごそうとしているんだろう。

答えは出ている。でも、それを認めたくはなくて、こんなに弱い自分が居ると言うことに驚きを隠せない。

「要するにだ、」

私と皐月の話を遮ってあいつは話始めた。私の聞きたくない、そうあってほしくないと望んだ話を。

「俺が今回の事をしくじれば、責任をとって葛原財閥の葛原 皐月さんと婚約って訳。まぁ立場的にみれば何もおかしな話じゃない。現実に1年前位からこの話は出てた。けど、俺も葛原も断固拒否してたんだよ。葛原にも相手は居るしな。」

私の知らない所で、そんな話が進められていたなんて。でも、そうだよね。あいつが自分の事、私に話す義務なんか無い訳で。それに今『葛原にも』って言った。それは裏を返すと“あいつにも”って事。あいつにも、付き合っている人、好きな人、愛している人は居るんだ。

あいつが好きになる人、愛する人ってどんな人なんだろう?

何処からか風が吹いて、私の右側をすり抜けた。

少し寂しくなった。