ハッと息を吐いて俺は陣内を見た。 俺はあいつが嫌いなんだ 正体が解らない限り。 だから、もし…あいつが萩原を大切にしてるなら。 奪って正体を暴いてやる。 陣内は、ようやく見つけたらしく、目に入った一点に向かって足を運んだ。 その方角は――― なに言ってるか分からない でも、たぶん相手を起こしてるんだと思う。 ――あぁ、そうだったんだ。 萩原って…あの猫だったんだ。 やっと、猫の名前も陣内の大切な奴も分かったことに俺は笑みを零していた。