まぁ不信感もありながら、会った時は忘れてしまう。

休みがもらえないまま、月日が経って行く。
もちろんスタッフの入れ代わりも激しい。
売上が悪ければ尋常じゃないほど怒鳴り散らす専務。
恐怖感から手を抜かないスタッフもいるだろう。
僕は1年以上専務の下で、やっているので
多少は慣れた。

ある営業中の出来事。
僕が延長確認に行った。
フリー2名様1時間目。

「失礼します。間もなくお時間なんですけど...」
僕が言い終わる前にかぶってきた。

「チェックで。」

でた。
また専務にごちゃごちゃ言われる。
当然粘る僕。

「これから仕事なんだよね!」

「仕事ってもう10時ですよ?なんの仕事なんですか?」

聞けばカラオケスナックのような所らしい。
何を言っても帰るって。

「今日なら2名様で1名分の料金でいいですよ!」

はっきり言って赤字。

「だめ。帰る。」

「じゃ〜今日終わったらそこのお店スタッフ何人かで行きますよ!」

とりあえず言うだけ言っとく。

「まじで?じゃあ延長でいいよ。1名分な。」

あ〜聞こえてたんだ。
とりあえず延長か。

営業が終盤に近づく。
今日は疲れたからまっすぐ帰ろう。

「上原さん電話です!」

インカムで呼ばれる。
店の電話を受ける。

「お電話かわりました!上原です!」

「あの〜今日来られるんですか?」

聞いたことない女の人の声。
話し込むこと5分。
ようやく事態が読めてきた。

さっきのカラオケスナックのような所の人から電話で、ホントに来るのかって電話らしい。

「行かせていただきます。」

行くって言ったし、
今更行かないなんて言えないか。
それにしても確認の電話なんて、さすがだね。
場所を説明してもらって電話をきる。

めんどくさいなぁ。
お金ないし。

こんな時は店長だな。
この店の店長は31歳。
お人良し。
お酒はほとんど飲めなくて、ビール1杯で寝ちゃう。

「店長〜。さっきのお客さんのとこ行かなきゃ行けないから一緒にいきましょ。」

「どうゆう店?」

「行けばわかりますから!」