夢の用な一日が終われば、
また現実に引き戻される。
あれから1ヶ月。

休みがない日々。
相変わらず、起きてからさとみに電話をする。

お風呂に入る前に電話すると切らしてくれないので、起きてから先にお風呂に入る。

そうするとだいたい、
さとみから着信がある。
準備が全部終わる前に電話にでてしまうと、遅刻。
準備中にも電話がかかってくる。
出なきゃ出ないで怒られる。

今日は全部準備が終わって電話をする。
当然怒られる。
家から店へ行く時も電話しっぱなし。

最近のさとみは、こっちの電話の後ろの音で店に着いたとかわかるらしい。
今日も遅刻ギリギリで店の前に着く。

「ハル今店の階段でしょ?店着いたから切るって言うんでしょ?」

「よくご存じで。」

「自己中!」


俺悪いのかな。

なんだかんだ理由つけて切ってるんだけど、
なかなか最近いい言い訳がみつからなくて。

「ごめんキャッチだからかけ直す!」
この作戦も4回目で
見抜かれた。


相変わらず一週間に2回
数十分しか会えない生活が続く。


会いたい気持ちはあるが
それはお互い思ってても
口に出さなかった。
口に出せばお互いを苦しめてしまうことになるから。

一週間に2回会えるのが
支えになっていた。

僕の店とさとみの店は営業が時間が一緒で終われば少しだけなら、会える時間があった。

しかし僕は閉店業務があり、
それをしてれば、会う時間は10分程度。
しかし、月、金曜日だけは店長に無理を聞いてもらい、営業終了とともに
帰っていいと言う許可をもらった。

もちろんその分他の日は、他のスタッフの仕事も手伝い帰るのも一番遅かった。


だけど、最近こんな事が増えてきた。
いつも通り電話をする。

「ハル今日月曜日だから会えるね!」

「そうだね!終わったら連絡して!」

まぁ普通の会話。
営業が終わり、店長に頭を下げすぐに店を出る。

さとみに電話しても出ない。
終礼が長引いてるのかな。
10分が経ち、

20分が経つ。

連絡がないまま、
さとみとの会える時間のリミットが過ぎていった。

こんなことがこの1ヶ月で何回かあった。