さらに強く抱きしめる。

「さとみちゃんのこと、すごい好き。大好き。」


「上ちゃん。この前も言ったけど、子供いるしなかなか会えないよ。」


僕は抱きしめていた腕を緩めた。
遠回しに断ってるのかな。
再び彼女が口を開く。


「だけどさ、さとみも上ちゃんが好き。」


彼女は笑顔で抱き着いてきた。


「帰りたくないよぉ。」


びっくりした。
いつもサバサバしてて、
男っぽいとこがある彼女が

こんなにも女の子の一面があるなんて。

きっと子供を産んで、離婚して、この2年ずっと気をはって頑張ってきたのだろう。
よっかかる場所もなく。

その言葉がすごく愛おしかった。

「さとみちゃん。キスしていい?」


「だめ。理由は2個。」


「なに?」


「1つは、さとみちゃんって、ちゃんづけはやめて!恥ずかしいから!
それと、もう1つ。好きって言われたけど付き合って言われてないもん。」

彼女は悪戯っ子のような笑顔で僕の胸にうずくまってる。


「そっか。」


と僕は言い、抱きしめた腕を離し、彼女の顔がみえる位置まで離れた。


彼女の身長に合わせ、
こう言った。


「さとみ。ずっと一緒にいようね。付き合って。」

言い終わる
瞬間にキスをした。


驚いた表情から笑顔になる彼女。

「ズルイ〜。まだ付き合うなんて言ってないもん!」

抱き着いてくる彼女。
上を向いて目を閉じてる。


僕は何度もキスをした。


こうして僕とさとみは付き合った。

再び抱き寄しめた腕を緩め、さとみに言った。

「ごめん、ホント時間やばいよね?
帰らなきゃ!」


「うん。ごめんね。」


うつむく彼女。


僕は彼女の顔を上げる。

「こら。暗くならない!」


「だって一緒にいたいんだもん。」


「またすぐ会えるじゃん!はいっ帰るよ!」

彼女の手を引っ張り、タクシーのドアを開けてもらう。

まだうつむくさとみ。

もう1度、さとみの顔をあげる。

「おい。最後くらい笑え。」

僕はそういって優しくキスをした。


彼女は笑顔になりタクシーに乗って帰った。