彼女は出なかった。



やっぱキャバ嬢はキャバ嬢。


よくある話しだ。


それから5分。


鳴らないってわかってる。
だけど、携帯をみてしまう。
なんだか自分が情けなくて
携帯の電源を切る。



と、その時。


きた。


彼女から電話が。


「ごめん終礼長引いてさ!今どこ?」


「家だ!遅いから寝ようとしてた。」


「ごめ〜ん!」


結局、彼女の店と僕の家の中間で待ち合わせた。


ほぼ同時に待ち合わせ場所に着く。

さっき会ったばかりなのに妙な緊張感。

さとみちゃんが先に口を開く。

「どこいこっか?上ちゃんちでもいいよ!変なことしなければ(笑)」


「そんなことしねーよ!バーでもいくか。」

ホントこの子にはペース乱される。


歩いて2、3分の近くにあるバーに入った。


閉店30分前で僕達以外客はいなかった。


何故か重い空気。

話すことが見つからない。

その上、彼女から話しかけてきても、
無愛想に返す。


なんなんだ僕は。
昔から好きな子を前にすると
つまらない奴になってしまう。


あげくの果てに30分たつ前に彼女に向かって言った。


「時間やばいよね?帰ろう。」

「う、うん。」

不思議そうな顔をする彼女。

そんな顔をみたが無視する僕。



親愛なる上原晴希へ。


しんじゃえ。


上原晴希より。



ホントこんな感じ。



店をでてタクシー乗り場まで送る。


高鳴る鼓動。


このまま返していいのか。


男ならこうするでしょ。


我慢できなかった。



「さとみちゃん。」

名前を呼ぶとともに、
彼女の腕を引っ張り抱き寄せた。


しばらく動かない彼女。


ここまで来たら言うしかない。