素直になれなくて(仮)




慣れないヒールを履いているせいか、思うように速度が出ない。



もう、いっそのこと脱いでしまおうと、ヒールに手をかけたとき―…



「…何、やってんの?」



車の小さなブレーキ音とともに、背後から男性の声が聞こえた。



声のする方を見ると、そこには、いかにも高級車ですと言わんばかりの、黒い車が止まっていた。


その高級車の後部座席から、美青年といっても過言ではない男の人が顔を覗かせている。



目鼻立ちが整っていて、サラサラな金髪。



見た目は王子様のようで、女の子なら誰もが一目惚れするんだろう…



なんてことを考えながら、ぼーっと見つめてしまっていた。