何が何だか分からないくらい、ここは混乱していた。
殴り合いの中で、勇人の姿を見失う度に、気が気じゃない。
「美優…。頼むから逃げよう」
竜さんはじれたっそうに言うけど、私は絶対に離れる気はなかった。
「嫌よ。絶対に嫌」
ここで逃げたら、私は何のために勇人の側にいるのか分からない。
でも、何も出来ずにいる自分がもどかしくてたまらなかった。
ただ見つめる事しか出来ないの・・・?
そんな事を思っていると、一人の男が何かを持っているのが見えた。
確実に勇人を狙って、少しずつ近づいている。
「あ、あれは・・・」
ナイフじゃない!!
「ダメ~!!逃げて勇人~!!」
無我夢中で、私は混乱する中へ、飛び込んでいた。

