ぼくのピペット

 

家の前に来ると、橋元君は立ち止まった。

神妙な面持ちで自分の家を見つめている。


「どうしたの?」

すると橋元君は家を見たまま言った。

「……言い忘れてたけど、うちん家、尋常じゃないから。今のうちに覚悟決めといて」

「は?」


どういうことだろう。

見た目からしてごみ屋敷なんてことはありえないし、多少の汚さならあんな風に言わない。

ここは、そんなにすごい家なのだろうか。




「ま、とりあえず入ろう」

橋元君が私を見て、言った。

「そうだね」

橋元君はああ言ってたけど、きっとたいしたことはないだろう。

私はそう思いながら橋元君の家に入った。


私が彼の言葉の真意を知ることになるのは、もう少し先のこと。