「そういえば。上月の家って、灰色のマンションだよな?」
橋元君の家に向かっている最中、不意に橋元君が言った。
「うん、そうだよ」
「やっぱりな」
橋元君はにたりと笑う。
「知ってた? あのマンションって、けっこう俺の家から近所なんだぜ」
「へぇー。偶然だね」
そのことは私も知っていたが、一応そう返事しておいた。
橋元君の家は、私の住んでいるマンションから大体十分くらいの場所に位置している。
ソフトベージュに塗り固められた壁に、濃い灰色の屋根を持つ彼の家は、いつ見ても品がよくて高級そうだ。
庭の門まで続く間にはパンジーやユリ、チューリップなどの花が色とりどりに咲き乱れていて、さらに品のよさを引き立てている。
高さだってけっこう高い。
少なくても三階はあるだろうと私は予想している。


