「ごめん中森さん。今の嘘」
「え、嘘?」
きょとん、としてこっちを見る。
「うん。嘘だったんだ。だからさ」
小田の肩をつかみ、
中森さんの前に突き出す。
若干屈み気味になっていて、
丁度彼女の目線に小田の頭が来る感じだ。
首も押さえつけているので、
小田は身動きが取れない。
それ以前に、
いまいち状況を把握していないようだ。
「どうぞ、ネコ耳つけてください!」
俺は言った。
彼女の悲しげな顔で
そんなに落ち込むのなら。
お願い、聞いてあげたほうがいいだろ?
中森さんは、とても嬉しそうだ。
「ありがとう、小田君、佐々倉君!」
そう言って、彼女は
カチューシャを小田の頭に取り付ようと、
腕を伸ばした。
とても楽しそうな中森さんと、
顔が引きつっている小田。



