「じゃあ、はい!」
お願いしますとそう言って、
中森さんがネコ耳を差し出したのは……
俺だ。
「え?」
「え?だって、
佐々倉君がつけてくれるんだよね?」
そう言って、にっこり微笑む中森さん。
……‘男の子が’ネコ耳つけてるのが
好きなんだったっけ?
「佐々倉君でも、つけてくれたら
私、嬉しい!だめかな?」
えーと、
中森さんのお願いの仕方はとても可愛い。
だから、だめじゃな……やっぱり駄目だ!
「ごめんなさい。無理です」
「えー!小田君じゃなくても我慢するのに」
でもその場合、
一番我慢が必要なのは俺じゃないか!
しかも、俺が得する事は何一つ無い。



