「平畠さん、カッコイイからモテるのかなって思って。あ、メアド教えて下さい。今度、ご飯でも行きましょうよ。」

無邪気に笑いながら、彼女はポケットから携帯電話を取り出した。

「...おい。ふざけるのもいい加減にしろよ。」

俺は、努めて冷静に言った。
意味を理解していないのか、彼女は首を傾げる。

「何、仕事中に携帯出してんだ?私語も慎め!それでバイト代もらうつもりか?」

お客さんあっての遊園地だ。
スタッフ同士でペチャクチャ喋ったり、携帯を触るのはお客さんに失礼だと俺は思う。実際に不快に思う人も少なくないはずだ。
なのに、何故こんなにも軽率な行動が出来るのか?
俺は、全く理解が出来なかった。

彼女は突然の厳しい言葉に、表情を強張らせた。

「金を貰うつもりなら、それ相応の働きをしろ!」